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美術館に敗れ、蕎麦に討たれ、獺祭に救われた一日

閉館、それとも閉眼?


とある日のこと。


――今日こそ上野に行こう。


目的地は東京都美術館。目当ては、20世紀アメリカ具象絵画を代表するアンドリュー・ワイエスの作品展である。


美術史にも多少は通じていると、ひそかに自負してきたわたくしにとって、これまで知らずにいた画家である。ならばこそ、なおさら見ておかねばなるまい。そんな妙な義務感まで胸に湧いてきた。


家麗とともに、嬉々として出かけた。


ところが、上野公園のエリアに入った途端、どうも様子がおかしい。人影が少なく、あたりが閑散としているのではないか。


なんと、その日は月曜日であった。


道理で文化施設が、一斉に沈黙しているわけである。


「なら、お昼にしましょう」


せめて美味しいもので失地回復を図ろうと思ったものの、時刻はちょうどランチとディナーの谷間。美味しそうな店は、ことごとく準備中であった。


そこで家麗の意見を聴いたのが、運命の分かれ道であった。


「そばでもいいんじゃない?」


その一言に従った結果、わたくしはついに、史上稀に見る蕎麦と対面することになった。


蕎麦はふにゃふにゃで、歯応えとか、芯とか、香りとか、そういう蕎麦に求められるはずの美徳は、はるか彼方の理想郷に旅立ってしまっていた。


しかも「真牡蠣」を謳っているではないか。多少は期待した。


ところが蓋を開けてみると、小さな何かが三つほど、すでに生涯を終えたような姿で、焦げ茶色のつゆの底に沈んでいた。


期待は、一瞬にして木っ端微塵となった。


隣で家麗は、


「そば、ほんの少ししかないわね」


と不満げに言う。


わたくしは、思わず答えた。


「少なくて助かった」


その後、ふらりとアメ横を散策したものの、蕎麦屋のあまりにも濃厚な後味は、なおも口中に居座っていた。これを消し去るべく、松坂屋上野店の四階にある銀座トリコロールに入り、コーヒーとアップルパイを頼んだ。


そこでようやく、生き返った気がした。


ひそかに思った。


――家麗には、もう「何が食べたい?」とは訊くまい。出かけたときは、あくまでも食通を自任するわたくしが決める。そういうことにしようぞ。


そう力んではみたものの、果たして自分に本当にそれができるのか、いささか心もとない。


そこで、いっそ正直に家麗へ打ち明けてみた。


すると彼女は、


「そうした方がいいわよ」


と、大笑いしたのであった。


幸い、帰り道のとあるストアで、ピカピカの生シラスを手に入れることができた。


これで帰宅後、シャワーを浴び、よく冷やした獺祭を飲みながら、ようやく少しばかりのくつろぎを得たわけである。


美を求めて出かけた。


夢は潰えた。


しかし、獺祭と生シラスによって、心は静かに救済された。


余は満足じゃ。


――ではなく、余は大俗物じゃ。


千年後、目利きの評論家はこう言うのであろう。


「彼は永遠の美を代償に、瞬間的な快楽を手に入れたのだった」


ワイエス展は七月五日まで開催中。


次こそは、月曜でない日に行こうぞ。



美術館敗北,遭蕎麥麵擊沈,却被獺祭拯救的一天



某日。


——今天無論如何都要去上野。


目的地是東京都美術館。要看的,是代表二十世紀美國具象繪畫的安德魯・魏斯作品展。


自認對美術史也多少有所涉獵的我,竟然至今不識此畫家。既然他都來了,能不去看麼? 心中甚至湧起了一種莫名其妙的使命感。


於是,我與家麗興沖沖地出了門。


然而,一走進上野公園一帶,便覺得情況有些不對。人影稀疏,四周莫名地冷清。


竟然,那天是星期一!


難怪所有文化設施都集體沉默了。


「那就去吃午飯吧。」


我心想,至少用美食挽回一點損失。誰知時間偏偏卡在午餐與晚餐之間,看起來好吃的店,無一例外都在準備中。


此時,聽取家麗的意見,便成了命運的分水嶺。


「吃蕎麥麵也可以吧?」


就因為這一句話,我終於與史上罕見的蕎麥麵狹路相逢。


那蕎麥麵軟趴趴的,所謂嚼勁、麵心、香氣,凡是蕎麥麵理應具備的美德,似乎都早已遠赴天國。


而且店家還標榜「真牡蠣」。我多少抱了一點期待。


誰知一掀開蓋子,只見三個小小的不明物體,宛如千辛萬苦已經走完了一生似的,靜靜沉在焦褐色的湯底裡。


期待,瞬間粉身碎骨。


坐在一旁的家麗不滿地說:


「蕎麥麵也太少了吧。」


我忍不住回了一句:


「少一點,反而救了我。」


之後,我們在阿美橫丁一帶隨意散步。然而,那家蕎麥麵店過於沉重的餘味,依然頑固地盤踞在口中。為了將其驅逐出境,我們走進松坂屋上野店四樓的銀座 Tricolore,點了咖啡與蘋果派。


直到此時,我才覺得自己終於復活了。


我暗自下定決心。


——今後再也不問家麗「想吃什麼」了。只要外出用餐,就由自認食通的我來決定。就這麼辦!


雖然心中如此逞強,但我也不能不懷疑,自己是否真的做得到。


於是,乾脆把這個念頭坦白告訴了家麗。


沒想到她大笑著說:


「你早就該這麼做了哈哈哈。」


所幸,回程途中,我們在某家商店買到了閃閃發亮的新鮮生吻仔魚。


於是回家之後,沖了個澡,再喝上一杯冰得恰到好處的獺祭,總算獲得了片刻的靈魂安寧。


原本是為了追求美而出門。


不料夢想破滅,照理應該文縐縐地說「乘興而去敗興而歸也」;


然而因為獺祭與生吻仔魚,我的心却獲得了奇妙的救贖。


我開始懷疑:


——吾,豈非大俗物乎?


千年之後,慧眼獨具的評論家想必會如此評曰:


「他以永恆之美為代價,換取了瞬間的快樂。」


魏斯展的展期至七月五日。


下次,一定要選個不是星期一的日子再去哦。

 
 
 

2件のコメント


それでも有意義でした☺️

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荘魯迅
荘魯迅
6月14日
返信先

それは何よりです😃

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